非連続的な現象があたかも連続的な現象として整然と並べられたとき、その連続的なストーリーに魅せられた人々はある錯覚とともにそれを神格化する。
我々は通常ある文章によって情報を得る。
その文章は起承転結によって整然と並べられている。
その整然と並べられた言葉の連続に我々は魅了される。
魅了された我々は一つの錯覚を頭に浮かべる。
素晴らしい、この滑らかな言葉の連続が我に生み出せようか。
生み出せるはずがない・・・
しかし、ある学問が偉大な知の巨人による一瞬の洞察によって忽然と姿を現すということはない。
ある断片的な結果や思考、長期間の思考錯誤が部材を与え、それがアッセンブルされて初めて一つの連続体として現れるのである。
だからもしこの錯覚から解き放たれたいのであれば、
その断片をのぞき込むことが必要である。
それは、すなわち本人に会いリアルな時間軸で起こっている断片を見ることである。
国際学会というのはまさにその役割を担っている。
実は断片的な成果は我々にでも挙げることができる。
そして、結局はそれをうまく積み重ねていけば、興味深いストーリーができあがるのである。
そのような意味で、ボルドーで開催された学会に参加できたことはよかった。
世界の一流の科学者達が集まったこの会議は、錯覚から脱却するに十分だった。
おわり